昨日、マツコさんの番組に坂東玉三郎さんが出演されていました。
東京に住んでいた頃には時々歌舞伎を観に行き、彼(彼女?)が花道から登場した時には、その美しさに思わずのけ反ったものです。
今では、すっかり観劇する機会も無くなってしまいましたが、あの時の感動はいつまでも忘れられません。
昨夜は、改めてテレビ越しでも伝わってくる佇まいや言葉の選び方に、長い年月をかけて積み重ねてきたものの重みを感じました。
派手な動きはなくても、ただ座って話しているだけで空気が変わる。
その存在感は、若い頃に舞台で感じた衝撃と、どこか通じるものがあります。
当時は「きれい」「すごい」という感想が先に立っていましたが、年を重ねた今は、その美しさの裏にある努力や覚悟にも思いが向きます。
女形としての表現、所作の一つひとつ、声の出し方に至るまで、どれほどの鍛錬が積み重なっているのか。
そう考えると、あの一瞬の輝きがより尊く感じられます。
地方に住むようになると、気軽に劇場へ足を運ぶことは難しくなりました。
それでも、こうしてテレビで姿を見かけるだけで、記憶が鮮やかによみがえるのは、やはり本物の芸が心に刻まれているからなのでしょう。
坂東玉三郎さんは正に本物の「国宝」です。
またいつか、生の舞台であの花道を歩く姿を観られたら——。
そんな淡い願いを抱きつつ、昨夜は少し贅沢な余韻に浸る時間となりました。


