実家にいる頃、年夜のシャケ、1日おせち、3日とろろ、7日七草粥、のように年末年始に食べるものがきちんと決まっていました。
母が受け継いできたそれは、季節の区切りを感じさせてくれる大切な習慣だったのだと思います。
当時は深く考えずに食卓に並ぶ料理を受け取っていましたが、それぞれに意味があったのですよね。
年夜のシャケは年取りのシャケで、年を取ったら故郷に帰って来るという縁起物、元日のおせちは無病息災や豊作祈願、3日のとろろは胃腸を休めるため、7日の七草粥は正月で疲れた体を整えるため。
食事を通して、自然と体と心を切り替えていたのだと、大人になってから気づきます。
一方、今の生活ではそこまで厳密な慣習はなく、せいぜい七草粥を食べるくらい。
忙しさや家族構成の変化もあり、「決まったものを決まった日に食べる」こと自体が難しくなっているのかもしれません。
それでも、七草粥だけは続けているという方も多いのではないでしょうか。
こうした行事食は、完璧に守らなくても、思い出したときに取り入れるだけで十分だと思います。毎年同じ味を口にすることで、自然と過去の記憶がよみがえり、「ああ、この時期だな」と感じられる。
それだけで、日常の中に小さな区切りが生まれます。
形は変わっても、食を通して季節を感じる気持ちは大切にしたいもの。
無理のない範囲で、続けられる習慣を残していけたらいいですね。


